川金コアテックは次世代型DM同調型TMDを開発・実大試験で高い制振効果を確認
川金コアテック(埼玉県川口市、鈴木信吉社長)は、日本大学理工学部建築学科免制震構造研究室(秦一平教授)、建築構造研究所(東京都目黒区、大原和之社長)と共同で、従来のTMD(同調質量ダンパー)よりも小さな付加質量で高い制振効果を発揮する次世代型「慣性質量(DM)同調型TMD装置」を開発しました。本装置は、実大装置および建物模擬試験体による振動試験を実施し、地震時の応答低減効果と設計用解析モデルの妥当性が確認されました。
DM同調型TMD装置は、従来のTMDに回転慣性質量装置を取り付け、ばねと直列に接続する構造です。回転慣性質量装置を活用することで、従来のTMDに比べて付加質量を小さくしても、同調する質量効果を大きく得ることができます。これにより、より効率的に制振効果を発揮することが可能です。
本装置は、対象建物の最上部に設置し、回転慣性質量部を建物の振動と同調させて制振する仕組みとなっています。今回製品化された実大装置は、幅2メートル、奥行き2メートル、高さ1・5メートルのサイズとなっており、これにより従来よりも省スペースでの設置が可能となりました。
7日に日本大学理工学部船橋キャンパスの環境・防災都市共同研究センターで行われた公開実験には、関係者やゼネコンなど約40人が参加し、質問が相次ぎました。縮小版のDM同調型TMD装置を設置した9層振動モデルを用いた試験では、1台の装置で建物の1次および2次の両モードの揺れを同時に制御できることが確認されました。
現在、都内の幹線道路沿いにある中高層の既存建物に、2026年にDM同調型TMD装置を設置する準備が進められています。建物内部の補強やブレースの設置が難しいため、装置は屋上部分に設置される予定です。今後は、都心部に多く存在する間口の狭い中高層建物を対象に、さらなる展開を進め、地震に強い都市環境の実現に貢献してまいります。
※2025年2月26日(水)の建設通信新聞3頁に同記事が掲載されております。
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