自己復元型トリガー機構付きオイルダンパーを戸田建設株式会社・光陽精機株式会社と開発いたしました
株式会社川金コアテック(本社:埼玉県川口市、社長:鈴木 信吉)は、戸田建設株式会社(本社:東京都中央区、社長:大谷 清介)と、光陽精機株式会社(本社:茨城県筑西市、社長:鈴木 信吉)と巨大地震時に建物の安全性を確保する「自己復元型トリガー機構付きオイルダンパー」を開発しました。一般的にオイルダンパーは、小地震から大地震まで建物の揺れを抑制する機能を有しますが、このオイルダンパーは、小地震では効かず、大地震で免震層に大きな変形が生じた際に、初めて効果を発揮する機構を備えています。本技術は2022年9月9日に日本建築センターの任意評定を取得し、国内トップレベルの耐震性能を目指し、現在建設中の戸田建設株式会社の新社屋「TODA BUILDING」に実装されています。
1.開発の背景
近年注目されている長周期地震動では、地震の揺れと共振 (注1)した超高層建物や免震建物において非常に大きな揺れが発生することが報告されています。また、将来高い確率で発生することが予想されている首都直下地震や南海トラフ地震においても、免震建物が周囲の擁壁と衝突(図1)して大きな被害が生じる可能性があります。
一方、免震建物の大きな揺れを抑制する対策としてダンパー数を増やす(減衰(注2)を大きくする)と、中小地震時に建物の加速度が増加し、免震建物としての効果が一部低下してしまうことが課題でした。
「自己復元型トリガー機構」は、この課題を解決するために開発した、類似例のない電気を必要としないパッシブ型の減衰切り替え機構です(写真1)。
(注1)建物の周期と同じ周期で振動を与えた際に、与えた振動よりはるかに大きく振動する現象。超高層建物や免振建物は長周期の振動で共振しやすい。
(注2)振動が時間の経過とともに小さくなる現象。
2.自己復元型トリガー機構の組み
本機構は、意図的にダンパーが効かない領域(不感帯)を設けることで、中小地震に対する加速度の抑制と、大地震時に対する安全性向上の両立を図ることを目的に開発しました。図2に示すようにオイルダンパーに本機構を接続することにより、所定の変形が生じるまでダンパーは機能しない構造となっており、中小地震の加速度増加を抑えることができます(図3)。
一方、所定の変形を超える大地震時においては通常通りダンパーが機能するため、建物が大きく水平に揺れ擁壁と衝突するのを防止します。また、機構には復元用のばねを実装しているため、変形後は自動的に元の位置に戻り、再び機能を発揮します。
本機構は、オイルダンパーに接続するのみで効果が得られるのが大きな特長で、2022年9月に任意評定を取得しています。
3.今後の展開
開発した「自己復元型トリガー機構」は、現在建設中の戸田建設株式会社の新社屋「TODA BUILDING」において実装されました。当社では今後、巨大地震に備え、建物の安全性を向上させ、高性能の免震建物を実現させより安全、安心なものとするために、本ダンパーの普及とさらなる技術開発に努めてまいります。
お問い合わせ先:株式会社 川金コアテック
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